ページを開いて、文字列を目で追うだけで、
なんだか頭の中が
「しん」
とする文章を書く人がいる。
宮澤賢治の詩は、
意味の分からない言葉がたくさん出てくるのに、
吸い込まれて「しん」となる。
(いまこの本をぱらぱら読んでいます、紙の手触りなど、装丁もすごくすてき。)
「じみへん」の作者のこのエッセイも、目で追うだけで心が鎮静してゆく。
内容じゃないんだ。(ちなみに内容はとにかく捨てたくてたまらない、捨てたい病の中崎タツヤさんの変態的な断捨離の話)
ページから出てくるムードみたいなものが、
ものすごい静かだから、読んでいて頭が「しん」とする。
「我」を感じさせない文章、なのだと思う。
さいきん近所の本屋さんに行く度、立ち読みしてる本があるんだけど、
これこれ。
これもページを開いてぼーっと拾い読みしてるだけで、
頭がしずかになってくる。ふしぎ本。
なんどもいうけど内容じゃない。
この本は整体師の作者が呼吸についていろいろ観て、気づいたことがつらつら書いてある。やわらかい言葉だが内容は結構むずかしく、頭に入ってこないんだがページを開くだけで「しん」となることは確か。
読んでいると勇気がわいてくるとか、気持ちが高揚してくる、感動する
みたいな本もすばらしいし大好きなんだけど、
読んでいると頭の中が静かになってくる
という本の方が希少な気がする。
装丁の力も、あると思う。ここにあげた本はどれもすばらしい。
「鎮静本」
と、呼ぶことにしましょうか。
希少だからこそ見つけたらうれしい。大切にしたい。
やっぱり最後の本、立ち読みばっかしてないで、買おうと思います。