大雨警報が出ていたけれど雨は早いうちに止んで、
今日は彼女と海の見える道を歩いた。
彼女からは、ぽぽちゃんとココナッツを合わせたような匂いがする。
潮風の中でも立ち止まったらわかった。
彼女はわたしを
わたしが両親からつけてもらったのとは
違う名で呼ぶ。
彼女の種族の中でその名前は
奥の部屋
という意味らしくて
風の音のようなすぅすぅぷはぷはした響きのその名前が
わたしの耳の周りの産毛を揺らすと
あいしてる
と言われたような気がする。
彼女はわたしに触れることはできないが、
わたしは彼女をよく撫でる。
飲み込むこともできるいつか。
彼女の前で裸になったことはないが、
彼女はわたしの手のひらから、
わたしの裸の姿がわかるのだという。