偶然日記

いまのテーマは一対一の人間関係。

原爆ドームは「美しい」か

 

原爆ドームまで歩いて行った。

「美しいよ」と語りかけるつもりだった。

「あなたはチェコの建築家が建てた、モダンで立派な建造物だった。

きのう調べたけど日本で初めてバームクーヘンの製造販売をした場所だったんだね。

あなたがそんなふうに、新しい文化の発信地だったときの姿を、わたしはぼやけた黒白写真でしか知ることができないけれど

その当時だって美しかったんだろうね。それはいわばあなたの少女時代。

ある朝、8時15分、

ひとつの大きな光が落ちて

あなたは壊れ、崩れ、吹き飛ばされ、骨がむき出しになってしまった。

あなたの中にいた人たちは、一人残らず消えてしまった。

でもわたしはあなたと美しいと思ってしまう。

あなたは新しい「意味」を獲得した。

あなたの壊れたところ、そして残ったところ、

まるで神の采配みたいに完璧だ。

チェコの建築家は、その運命をわかっていて、あなたを建てたみたいに思える。

あなたは美しい」

 

わたしはそのように、不遜に不謹慎に、語りかけたかった。

 

コメダ珈琲スマホをいじりながらだらだらと過ごし、

19時過ぎ、原爆ドームへ歩いて行った。

それがほとんど唐突に、目の前に現れたとき、

わたしの喉は締め付けられて痛み、涙が醜くぼろぼろと溢れた。

目が離せなくて、見つめたまま、そばを歩いた。

 

濃紺のぺったりとした夜の風が、開ききった唇に流れ込む。

 

それは尊厳。例えようもない重さ。

「美しく」などなかった。

 

「美しい」とか「醜い」とか、そういう見方を一切はねのける

ただそこに、「原爆ドーム」があった。

「悲しい」とすら思わなかった。

 

「悲しい」と思う人もいるのかもしれない。

3年前に東京から来た友達とあなたを見たとき、

わたしは「美しい」と思った。

コンセプチュアルな現代アートみたいだ、と思った。

 

でもいまは、そんなこと思わない。

月曜の夜だけど観光客はいて、スマホで写真を撮ってゆく。

そのなかに、「美しい」と思う人もいるだろう。

「痛々しい」と思う人も。

「恐い」と思う人も。

勝利の象徴だ」と思う人もいるかもしれない。

 

 もしかしてひとびとは、あなたにその時々の自分の中の何かを、投影しているのかもしれない。

きのうの夜、わたしはあなたに計り知れない尊厳と重みを感じた。

わたしはあなたを女性だと感じた。

わたしはあなたの中に、入れたらと一瞬思った。

 

 

 

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(不快に思われた方がいらっしゃるかもしれません。ごめんなさい。アクセス数は限りなく0に近い、ほとんど誰も見ていないブログで、自分のために書いているようなものです。甘えや自己陶酔など含めた内面のことをメモ的に書き残しています。)